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四大コンテスト
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第67回 中日写真展

15都府県から2572点
 中日新聞社、中日写真協会など共催の「第67回中日写真展」は、報道・観光・環境などの8部門に15都府県から2572点(1部169点、2部669点、3部559点、4部271点、5部240点、6部208点、7部98点、8部358点)の応募があった。第1次審査は2015年11月、名古屋市の中日新聞社、最終審査は後援各省庁担当者や主催関係者らが、東京都品川区の富士フイルムグリーンビルで行い入賞、入選者を決めた。

 入賞、入選作品は、名古屋展=2月9~21日・中日写真協会ギャラリー(名古屋市中区栄・中日ビル3階)▽東京展=3月11~17日・富士フイルムフォトサロン東京(東京都港区赤坂、東京ミッドタウン)▽金沢展=4月6~11日・エムザギャラリー(金沢市武蔵町、めいてつ・エムザ2階)▽浜松展=5月10~15日・ギャラリー35(浜松市中区早馬町、クリエート浜松3階ギャラリー)で展示。(文中敬称略)

各部門の入賞・入選者

第1部・報道組み写真

◇1位(文部科学大臣賞)=「手筒花火」山田忠男(春日井市)
◇2位(中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞)=「小女子(コウナゴ)漁」近藤寿香(岡崎市)
◇3位(中日写真協会賞)=「宇治川の女性鵜飼」中西新一(名古屋市)
◇4位(中日スポーツ・東京中日スポーツ賞)=「夏至祭」助川正義(安城市)
◇入選 石原洋輔、尾崎昭一(西尾市)鈴村勝利(愛知県阿久比町)大藪良一(四日市市)中辻義則(関市)鈴木啓介(愛知県幸田町)宮島元子(岡崎市)藤井正夫(水戸市)安藤恒子(小牧市)西野稔(江南市)
◇愛知県知事賞 山田忠男

第2部・自由写真

◇1位(文部科学大臣賞)=「霧の郡上八幡城」久世和之(大垣市)
◇2位(中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞)=「渡り蝶舞う」池田宏(岡崎市)
◇3位(中日写真協会賞)=「勇壮な獅子舞」竹田等(岡崎市)
◇4位(中日スポーツ・東京中日スポーツ賞)=「鮮やか」木下安雄(浜松市)
◇入選 竹内信子(岡崎市)木山昭文、鈴村勝利(愛知県阿久比町)高井孝純(各務原市)真舘忠嗣(七尾市)橘敬介、深見治男、佐藤政男、金原智、青木正雄、高木保彦(名古屋市)杉浦誓、丹羽利幸(半田市)武田功司(瀬戸市)大土勝(刈谷市)新田正則(鈴鹿市)磯貝文男(碧南市)宇津木綾(三重県玉城町)斎藤紀生、斎藤和子(安城市)可児芳春(岐阜市)桑原健二(静岡市)高野鉄夫(新城市)山田久司、牧ノ瀬崇市(稲沢市)小塚鋭安(春日井市)戸軽邦明(知立市)加藤昭(四日市市)奥村佳代(犬山市)伊藤幸助(桑名市)

第3部・観光写真

◇1位(国土交通大臣賞)=「祭りのクライマックス」佐合富春(美濃加茂市)
◇2位(中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞)=「十九女池(つづらいけ)の夏」上坂雅春(一宮市)
◇3位(中日写真協会賞)=「天の川の辺」若杉茂(尾張旭市)
◇4位(中日スポーツ・東京中日スポーツ賞)=「お願い」大土勝(刈谷市)
◇入選 塩安孝司(羽咋市)酒井工(犬山市)高須吉郞、桑田三郎、鈴木英明(岡崎市)斎藤力(東久留米市)古田敏城、市毛昇(水戸市)川合登志枝(各務原市)冨田邦雄(一宮市)長谷川輝義、杉山厚子、笠原治郎(名古屋市)小林清子、小塚勇(知多市)宇津木守(三重県玉城町)吉田美良、山田久司(稲沢市)岩谷栄祐(四日市市)安藤恒子(小牧市)岡本茂義(碧南市)川又和子(茨城県東海村)竹内弘三(半田市)丹羽直之(西東京市)池永守夫(金沢市)近藤光次(安城市)駒瀬武子(羽島市)金森正裕(大垣市)山田信愛(高浜市)三ツ井道代(掛川市)

第4部・広告写真

◇1位(経済産業大臣賞)=「ハイタッチ」森田光昭(名古屋市)
◇2位(中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞)=「出番待ち」長野一郎(小松市)
◇3位(中日写真協会賞)=「ハイどうぞ」星子秀一郎(半田市)
◇4位(中日スポーツ・東京中日スポーツ賞)=「スタジアムの芝刈り」瓦林英輔(豊田市)
◇入選 高須吉郞(岡崎市)水野勝雄(海津市)竹内弘三(半田市)長田国博(小牧市)宮崎司郎(豊田市)清水清章(知立市)深見治男(名古屋市)杉本松雄(羽島市)高井孝純(各務原市)鈴木博之(東海市)

第5部・くらしと産業写真

◇1位(経済産業大臣賞)=「日本刀研磨」小塚鋭安(春日井市)
◇2位(中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞)=「まもなく営繭(えいけん)」沢田節夫(岐阜市)
◇3位(中日写真協会賞)=「文化財を守る」佐藤秀樹(ひたちなか市)
◇4位(中日スポーツ・東京中日スポーツ賞)=「寒ざらし」戸軽邦明(知立市)
◇入選 市川干城(蒲郡市)竹内一二、岡田広子、菱木一光、生駒憲一(知立市)堀三千男(各務原市)小塚勇、谷口寛一、広瀬護(知多市)木村文理(小牧市)斎藤和子、神谷博(安城市)新田稲子(東海市)牛田義光、恩田輝夫(名古屋市)都築カズ子、入倉喜巳男(西尾市)宮武由紀子(春日井市)小竹久子(岐阜県垂井町)中川晴男(新城市)

第6部・海外写真

◇1位(外務大臣賞)=「豊かな市場」蜂須賀比早郎(あま市)
◇2位(中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞)=「雪中行軍」市原淳宏(春日井市)
◇3位(中日写真協会賞)=「あひるの行列」岩谷栄祐(四日市市)
◇4位(中日スポーツ・東京中日スポーツ賞)=「アルプス越え」伊藤宏昭(西尾市)
◇入選 宮森義雄(東村山市)矢野正一(東京都目黒区)木村ちづ子(あま市)古田敏城(水戸市)新帯弘子(知多市)桜井格、森正人、杉山厚子(名古屋市)加藤直美(豊明市)鈴木克之(豊橋市)菱木一光(知立市)御宿弘和、川合定治(各務原市)井上幸憲(豊田市)吉川正宏(静岡市)加藤和代(蒲郡市)伊藤治(彦根市)日比野信子(半田市)高山寿一(浜松市)佐伯外与昭(刈谷市)

第7部・医療・福祉写真

◇1位(厚生労働大臣賞)=「秋の外出レク」小竹久子(岐阜県垂井町)
◇2位(中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞)=「みんなでAED」入倉喜巳男(西尾市)
◇3位(中日写真協会賞)=「僕も見たいよ」大竹武(岐阜市)
◇4位(中日スポーツ・東京中日スポーツ賞)=「母子の楽しいとき」仲根英之(豊橋市)
◇入選 青山恵甫(一宮市)田中保幸(西尾市)金子和夫(江南市)浅岡由次(知立市)高山寿一(浜松市)三浦康男、深見玲子(名古屋市)鈴木政雄(磐田市)市川干城(蒲郡市)鈴木武久(知多市)

第8部・環境写真

◇1位(環境大臣賞)=「親心」奥村佳代(犬山市)
◇2位(中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞)=「昇る明星」二村健次(田原市)
◇3位(中日写真協会賞)=「スズメ翔映」武田功司(瀬戸市)
◇4位(中日スポーツ・東京中日スポーツ賞)=「身を削って子育て」佐伯外与昭(刈谷市)
◇入選 中根敏恵、巌谷忠昭、斎藤紀生(安城市)小宅和代(蒲郡市)近藤寿香、下尾信義、宮島元子、篠田光雄(岡崎市)宇井丈裕(豊橋市)宮武由紀子(春日井市)礼田輝久、原田康彦(豊田市)杉浦好彦(半田市)新田稲子(東海市)上原勲(愛知県東浦町)藤井昭浩(静岡県松崎町)川合定治(各務原市)宮脇昭弘(名古屋市)後藤明子(岐阜市)中谷渉(金沢市)

第67回中日写真展審査評

第1部
 報道組み写真は、ひとつのテーマを数多くの写真で構成する。今回から4枚組みになりまとめ易くなったためか質の高い作品が多数あった。写したいテーマがあれば、画面の中に被写体の主と従を決め、起承転結の構成や報道写真の原則である4W1H(いつ、だれが、どこで、何を、どのようにした)を考えながら撮影にすると良いでしょう。今回の上位受賞作品はいずれも構成力が高く、1点1点を丁寧に記録する姿勢が伺え好感が持てる。

文部科学大臣賞 「手筒花火」 山田 忠男
 伝統の手筒花火が真っ赤な炎の下に柳がしだるようだ。勇壮な姿に至るまでのプロセスを丁寧に密着取材した構成は秀逸。孟宗竹を選んで切り取り、胴を縄で縛って補強、火薬の装てん、そして点火・奉納のカットまで1枚ごとに計算されたアングルとフレーミングは見事だ。

中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞 「小女子漁」 近藤 寿香
 カモメに迎えられて帰港した漁船もキラキラ輝く小女子にも春の風を感じるようだ。ロングからアップに次いで、天日干しの様子は遠近感を利かせ、網を繕う漁師はハイアングルで動きも見せるなど巧みなカメラワークで表現している。

中日写真協会賞 「宇治川の女性鵜飼」 中西 新一
 歴史のある宇治川の鵜飼で数少ない女性鵜匠を主役に起用。昼間の準備から本番のかがり火とたいまつの下に展開する夏の風物詩・鵜飼ショーまでを望遠レンズを駆使して超高感度で捉えた。画像はシャッターチャンスにも優れ見ごたえがある。

中日スポーツ・東京中日スポーツ賞 「夏至祭」 助川 正義
 伊勢市の二見輿玉神社の夏至祭りでお祓いを受けている写真で始まった。海に入り心身を清める人たち、太陽が夫婦岩の間から顔を出した素晴らしいショット。朝日に照らされ感動し涙する人までも明快なカメラアングルと適切なフレーミングで出色である。


第2部 自由写真
 自由写真は、ビギナーからベテランまで最もにぎわった部門。被写体も広範囲にわたると思われたがイベントや行事の写真は予想外に少なく、動植物などネーチャーフォトも少なかった。季節も春・夏が多くて秋・冬は比較的少なかった。また晴天昼光以外は、デジタル化が進んで撮り易いのか夕景、夜景は多かった。一方、雨や雪、早朝の風景は少なかった。風景でも街のスナップでも場所によっては天候や時間帯をよく考えて撮って欲しい。

文部科学大臣賞 「霧の郡上八幡城」 久世 和之
 司馬遼太郎氏が最も美しい山城と呼んだ白亜の天守を持つ岐阜県の郡上八幡城を良いカメラ位置からうまくフレーミングして写している。しかも霧に包まれた城の天守閣がスポットライトを浴びているような天候条件にも恵まれ、澄んだ空気感と立体感を醸し出している。

中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞 「渡り蝶舞う」 池田 宏
 群生するフジバカマの上をアサギマダラが忙しげに飛び交う情景をうまくフレーミング。白い雲が流れる青空をバックにピンクの花とチョウたちが画面に広がりと澄んだ空気感をもたらし安らぎを感じさせてくれる。

中日写真協会賞 「勇壮な獅子舞」 竹田 等
 獅子舞奉納で、頭を振り激しく体をくねらせて踊る獅子を画面からはみだすほどにフレーミングしたのが成功している。ややスローシャッターでぶれた画像が激しい動きを伝えてくれる。地面に低い位置で首を振った瞬間のシャッターチャンスが絶妙だ。

中日スポーツ・東京中日スポーツ賞 「鮮やか」 木下 安雄
 恵まれたカメラ位置でマスゲームの一部を切り取ったかのような造形的な画面構成が面白い。速いシャッタースピードで捉えた逆光に透けて光るオレンジ色の袖が美しく描写されている。画面の下、白い床の黒い影が画面を引き締め効果的だ。


第3部 観光写真
 観光写真は、昔ながらの絵ハガキ的な写真やいつも見慣れた風景、山や歴史的な建造物は減少した。そのかわり恒例の祭りや観光イベントの記録写真的なスナップに集中している。撮影者は観光客であると同時に主催者側の立場になって多くの人に歴史的な事物や珍しさ、祭や伝統的な行事の楽しさを伝える役割もぜひ担っていただきたい。そのためには、そこに居る人々の配置や動きにもっと目を向けて写すことが大切でしょう。

国土交通大臣賞 「祭りのクライマックス」 佐合 富春
 社殿に向かって駆け上がってくる馬と、たづなを取る若い女性や若者の姿態、表情を素晴らしいシャッターチャンスで捉えている。理想的な真正面のカメラポジションから画面いっぱいにしたフレーミングが迫力を高め、鳥居や参道など背景の入れ方も良い。

中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞 「十九女池の夏」 上坂 雅春
 咲き誇るピンク色の花を付けたサルスベリを手前上に配して夏の十九女池を彩りも良く爽やかに描き出している。伝説の竜神に替わりドクターイエローが池の奥を走り抜けようとする姿を抜群のシャッターチャンスで捉えている。

中日写真協会賞 「天の川の辺」 若杉 茂
 立山室堂平で空の高さや広がりを十分に計算に入れ、手を伸ばせば届きそうにさえ感じさせる画面構成が優れている。超高感度に設定し、速いシャッターで写した天の川のシャープな画像と星雲のディテールが、圧倒的な臨場感を伝えてくれる。

中日スポーツ・東京中日スポーツ賞 「お願い」 大土 勝
 長谷寺の本堂の中から外の紅葉に向けて縦画面の構図で奥行きも出し床にモミジが映る美しさを表現した狙いが良かった。「おびんずる」ようにお祈りをする人を待って床を広くフレーミングし、お堂の広さや雰囲気を出した設定も良い。


第4部 広告写真
 広告写真は、スナップや風景の中にさりげなくPRしたい商品や企業名を写し込み、本来はポスターやカタログなど印刷物に使用される写真である。上位4賞の作品はどれも商品や企業広告に特化することなくしっかりしたコンセプトでまとめられている。風景写真は画面づくりが巧みで、スナップ写真も大胆なフレーミングとシャッターチャンスに優れた作品だ。他部門でも選ばれるレベルにある。広告写真は画像がよりシャープで色彩構成にも気配りの出来た作品が期待されている。

経済産業大臣賞 「ハイタッチ」 森田 光昭
 斬新な発想の画面づりがアイキャッチ重視の広告写真にはぴったり沿っている。市民マラソンランナーと応援する人の交流を瞬時に収めたシャッターチャンスも抜群だ。青空をバックの手袋やランナーたちの色彩もにぎやかで調和している。

中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞 「出番待ち」 長野 一郎
 黄色一色のクレーン車が何台も整然と並び、まるで大型ロボットが腕を降ろして待機しているようだ。この力強い姿を最適なアングルとフレーミングで隅々までシャープに構成している。質感、立体感の描写も優れている。

中日写真協会賞 「ハイどうぞ」 星子 秀一郎
 白イルカのショーでトレーナーが投げたボールをくわえて持ち帰り、はい!と投げ返す良いタイミングでシャッターを切っている。画面いっぱいに顔とボールを良い角度でフレーミングしたので目、口と対角線状になったボールが引き立っている。

中日スポーツ・東京中日スポーツ賞 「スタジアムの芝刈り」 瓦林 英輔
 画面の隅々までシャープで安定感のある構図が広告写真らしくて素晴らしい。画面下のほぼ中央とグラウンドの右上に芝刈り機が来るタイミングで写した事で画面に一層の奥行きと広がりが強調された。夏の強い日差しに芝刈り機の音が響いている。


第5部 くらしと産業写真
 見本市や物産展、イベントでの伝統工芸家や職人の写真はかなり減った。ドキュメンタリータッチの写真が多数見受けられるが、主としてタングステンや蛍光灯など室内自然光による作品なので、あまり早いシャッターも切れず、絞りも開いているため表情や手の動きもシャープさに欠けている。また周囲の環境描写に乏しい作品もある。感度調節に加えてホワイトバランスもオートだけにせず細かく調整して欲しい。

経済産業大臣賞 「日本刀研磨」 小塚 鋭安
 若い女性の真剣な表情と手元をしっかり見せるため、やや斜め位置からの最適なカメラポジションとアングルを見極めた事が作品の出来栄えを決定づけている。力の入った手の動きに合わせたシャッターチャンスも優れている。

中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞 「まもなく営繭」 沢田 節夫
 間もなく始まる営繭(えいけん)の準備でお蚕さんと回転まぶしの様子を見やる人と、環境をうまく取り入れたフレーミングで写している。シャッタースピードもシャッターチャンスも的確であるため顔や手の表情、回転まぶしの動きがよく伝わってくる。

中日写真協会賞 「文化財を守る」 佐藤 秀樹
 仏像の頭部を修復している状況を撮っているところでしょうか。顔の高さにしたカメラで真剣な表情と指先に力の入った瞬間を素早く納めている。感度を上げ柔らかい室内自然光で撮影しているので、表情も仏像の木肌もなめらかに再現している。

中日スポーツ・東京中日スポーツ賞 「寒ざらし」 戸軽 邦明
 冬の風物詩・寒ざらしの様子をひとりの職人を選んでフレーミングした狙いが良かった。望遠レンズで白く泡立つ川の段差や流水を背景に入れ主役を浮かび上がらせている。高速シャッターで撮ったのでブラシの動きや水しぶきがよく出ている。


第6部 海外写真
 海外写真は、よく知られた観光地でなくてもその国の特長、雰囲気をつかんで写した風景や街角、町の人たちと向き合って撮ったスナップポートレート、特に広角レンズで近寄って写した写真に魅力的な写真がたくさんあった。人物も風景もフレーミング、カメラアングルにひと工夫した作品が入賞している。今回はヨーロッパやアメリカで取材した作品は少なくアジア圏の写真が多かった。特にベトナムとタイ、カンボジアを訪れた人が多かったようだ。

外務大臣賞 「豊かな市場」 蜂須賀 比早郎
 大きな円形に並べられた魚たちを主役とし、後ろで作業をしている店員は脇役。乾物屋やたくさんのバイクを背景に据えたフレーミングで市場の喧騒を見事に表現した。広角レンズで見下ろし気味にしたアングルが広がりと奥行きをシャープに描き出している。

中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞 「雪中行軍」 市原 淳宏
 スイスのエギーユ・デュ・ミディ展望台から雪山と尾根歩きをするアルピニストたちを的確なフレーミングで捉えた情景が素晴らしい。人物の配置も良く遠景の青味を帯びた山あいから浮かぶ稜線や逆光で光る雪肌の質感もうまく描写している。

中日写真協会賞 「あひるの行列」 岩谷 栄祐
 川を見下ろす良いカメラポジションで、ちょうどカメラに向かってくるようなアヒルの大群とそれを追う小舟の人を縦画面で、遠近感の利いたうまいフレーミングで捉えている。川の水が少し濁っているので白一色のアヒルたちが引き立って見える。

中日スポーツ・東京中日スポーツ賞 「アルプス越え」 伊藤 宏昭
 雪が残る山を背景にイタリア・ドロミテ街道あたりをツーリングする人をうまくフレーミングしている。暗いカラマツ林をバックに走っているので2人をしっかり浮かび上がらせている。画面を縦位置にして高さと奥行きを明快に表現している。


第7部 医療・福祉写真
 医療・福祉写真は、相変わらず車いすの人をテーマにした作品が多い。ハンディある人にはカメラを向けにくいが、友人や家族との交流、花見に行く様子を写した作品などに良い写真が多数見受けられた。室内での撮影もきれいに仕上がっていた。ハンディある人がマラソンやバスケットで汗を流している姿やお年寄りが折り紙、絵画など趣味の世界に興じる姿には心が和むのではないでしょうか。さらに保健・医療現場の人たちにも目を向けて欲しい。

厚生労働大臣賞 「秋の外出レク」 小竹 久子
 黄金色に染まったイチョウ並木に来たお年寄りたちをローアングルでイチョウの高さと並木の遠近感が出るよう正面から良いフレーミングで撮っている。黄色いトンネルを見上げる人、黄色のじゅうたんを見る人、皆の表情が分る距離で暖かいまなざしを向けている。

中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞 「みんなでAED」 入倉 喜巳男
 AED講習会で救命活動やAEDを勉強している人たちでしょうか。広い会場で講師と受講者を中心に周りを囲んで真剣に見入っている人たちの様子を良いアングルでフレーミングしている。感度をアップし室内自然光をいかしたシャッターチャンスも優れている。

中日写真協会賞 「僕も見たいよ」 大竹 武
 抱きかかえられベッドの上から寝ている赤ちゃんに手を伸ばし話しかけている坊やを赤ちゃんと一緒にうまく画面に収めている。右奥から入って来る外光が部屋の中を明るく照らし暖かい雰囲気をしっかりと出している。

中日スポーツ・東京中日スポーツ賞 「母子の楽しいとき」 仲根 英之
 踊り終わって満面の笑顔で手を伸ばしている車いすの男の子と、お母さんが笑顔で決めたポーズを見事にキャッチしている。動きの速い被写体を追いかけ、ほぼカメラに向かって静止する状態に成るように捉えたフレーミングが見事である。


第8部 環境写真
 環境写真はかなり関心が高い部門で応募点数が3番目に多い。逆光、半逆光の利いた美しい風景や鳥、小動物、昆虫の写真など自然と生き物への思いやりが伝わってくる写真が多く寄せられている。海岸や河原の清掃、山林での植林など自然保護や生活と共存を目指すエコロジー、リサイクル活動など身近な環境問題をテーマにした作品の応募に期待が寄せられている。

環境大臣賞 「親心」 奥村 佳代
 クマゲラの親子をよく観察して餌を与える瞬間を良いシャッターチャンスで撮っている。巣穴に対し良い角度で写せるポジションを確保したので、ヒナたの目やくちばしの動きを逃がすことなく背景からもはっきりと浮かび上がらせている。

中日新聞・東京新聞・北陸中日新聞賞 「昇る明星」 二村 健次
 ダイヤモンド富士のように山頂に輝く金星と富士山を引き立たせる星の軌跡が美しい構図だ。画面を飾るたくさんの軌跡はタイマーレリーズによる多重露光で形成しているが、この日のために十分な準備と綿密な計算によるたまものだろう。

中日写真協会賞 「スズメ翔映」 武田 功司
 寒のスズメが群がって飛び交う様子が超望遠レンズで鮮明に切り取られている。シャッターチャンスが絶妙で高速シャッターが捉えた姿は一羽一羽がさまざまな形に固定され、同一画面上に連続写真を凝縮して映し出されたかのようで興味深い。

中日スポーツ・東京中日スポーツ賞 「身を削って子育て」 佐伯 外与昭
 飛び立つ練習をしているかのように丹頂ヅルの家族が3羽同時に大きく羽を広げた瞬間を速いシャッターでうまく撮っている。今にも飛び上がりそうなツルたち親子は、緑の草をバックに半逆光に照らされて質感・立体感に富んでいる。

(茶谷茂・日本写真協会顧問)

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